2008年5月26日月曜日

喘息についてのリンク    特集 高齢者喘息の臨床的特徴とその対策

高齢者の喘息の現況が述べられている。
非アトピー型・重症喘息が多いという。

意外に、最近のガイドラインによるぜんそく治療が行われていない実態をみることができる。


特集 高齢者喘息の臨床的特徴とその対策

以下そのホームページの要所の引用

III.高齢者喘息の診断 

現在の高齢者層は第二次世界大戦後に青春時代を過ごし,喫煙治外法権時代の中で活躍した世代である。従って,慢性閉塞性肺疾患の合併例がかなりの比率を占めることから,肺気腫や慢性気管支炎と喘息による過膨張・器質性変化や過分泌の区別が困難な場合が多い。その為には画像,肺機能,喀痰中細胞,生検等による解析が必要となる。しかし一般臨床の場では,呼吸困難や喘鳴を伴う咳・痰が50歳以前に始まったとか,喫煙歴がなくて症状を発現する等の点を大きな拠り所とすることが多い。また生活習慣病や加齢現象で,心・血管由来の心不全症状が関与していないかも視野におく必要がある。その他,胃食道逆流症による気道収縮や,合併症に対する治療薬として投与されている関節炎に対する非ステロイド系消炎鎮痛薬(内服剤,貼付剤,スプレー等)や高血圧に対するACE拮抗薬,β遮断薬(内服剤),緑内障へのβ遮断薬(点眼剤)等によって症状が増悪することもあるため,合併疾患の治療薬には特に留意しなければならない(表1)。

IV.高齢者喘息の治療の現況 

高齢者喘息の基本的な薬物治療は,成人喘息のそれと何ら変わるところはない。即ち,前述のアンケート調査によれば,成人喘息患者には吸入ステロイド薬と徐放性テオフィリン薬が最も多く使用され,ロイコトリエン受容体拮抗薬や吸入β2刺激薬がそれに次いでいた。ところが,高齢者喘息群では経口ステロイド薬,徐放性テオフィリン薬,ロイコトリエン受容体拮抗薬が有意に高率に使用され,若年成人群に比べてガイドラインに準拠した治療が行われていない実態,即ち良好な管理下にない状況にあることが想定された。そこで,下記にあげる高齢者喘息特有の問題点も熟知の上で,根気よく患者教育に力を注いでテーラーメイド治療をこころがけたい。

V.高齢者喘息の問題点と対策 

高齢者喘息患者の治療・管理においては,以下の様な問題点がある。 

〈1〉成人発症型で非アトピー型が多数を占める為,アレルゲン対策のターゲットが見つかり難い。 

〈2〉胃食道逆流現象で胃内容物が食道へ逆流し易く,さらに気道へも流入して迷走神経反射で気道収縮が誘発される。また慢性閉塞性肺疾患や心・血管系の合併疾患に対する治療薬等,多くの増悪因子が潜んでいる(表1)。 

〈3〉非発作期でも症状が残存し安静な生活が妨げられ,治療不足と下気道全体のみならず肺実質のリモデリングによる肺機能低下も想定され,自然寛解は困難を極める。そればかりか,非喘息の高齢者に比べて健康寿命は短縮することとなる。 

〈4〉加齢現象(視力,聴力,理解力,意欲の低下,手技の未熟等)により,喘息病態や長期管理の必要性を理解することが難しくなる為,治療コンプライアンスが低下する。従って,より簡単で懇切丁寧な治療が望まれる(表2)。 

〈5〉急性発作時の対応が不十分であるばかりか,発作に対する不安感,孤独による失望感が病像を複雑にする。この問題は,近年の家族構成の変化,即ち子供との同居率が51%(2002年)に低下している現実とも密接に関連しよう。しかし,高齢者が望む2世代・3世代同居は現代では望むべくもなく,わが国の経済・教育・文化の流れが変わるのをじっと待つしかなさそうである。そのような心理的要因による喘息症状の修飾や多様化への対応を,多忙な外来診療の中で,個々の努力で補うことは至難の技である。今後,病診連携や家族を含む支援システムの要となる相談員(医療・福祉相談室)を質・量ともに充実させ,重症患者の療養施設を拡げる等,行政側からの対策が切に望まれる。

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